TAKUDAI PROFILE~拓大人物図鑑~

日本におけるイスラーム研究の先駆者。

1900年、台湾協会学校(拓殖大学の前身)に一期生として入学。当初は中国思想を研究したが、やがてイスラームへ傾倒。1924年、中国・済南のモスクで入信。同年、日本人で二人目となる聖地メッカへの巡礼を果たす。1925年には、自身の巡礼紀行をまとめた『イスラム巡礼白雲遊記』を刊行し、当時の日本においてまったくの未知だったイスラーム世界のありのままの姿を紹介した。

日本のイスラーム研究のパイオニアとして論文を多数著し、その一方で、私塾の開設や全国での講演会の開催など、日本人のイスラーム理解促進のための地道な啓蒙活動を続けた。イスラームの真髄を追求し続けたその背景には、独自の興亜思想があった。拓殖大学では、イスラームやアジア問題を教える通称「田中塾」で多くの門下生を育てた。田中の葬儀は、日本人として初めてイスラーム式で執り行われた。